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2019年4月17日 (水)

『港が見える丘』で逢いましょう。

Hiranoaiko1

 

平野愛子さんのあまりにも有名なこの曲をはじめて知ったのは

大瀧詠一さんがインタビューと、ラジオ番組『日本ポップス伝』で

紹介されていたのがきっかけでした。2010年だったと思います。

儚げでモダンで。。。なんて素敵な曲なんだろうと感動し、

プロデューサー&アレンジャーの山本隆二さんにアレンジと、

ピアノを御願いしてライブで歌ったのですが、

何とも難しくて歌いきれなかった。。。という想い出があります。

いま歌ってみると凄く胸に入ってくるというか、

9年前は所謂「昭和歌謡の名曲!」という認識だったのが、まるで

歌詞の中の女性になってしまったような切なさを感じるから不思議です。

私もちょっとは成長した。。。ということでしょうか(笑)。

 

この曲の音楽的なポイントは(私にとっては)3つあって、

まずオリジナルである平野愛子バージョンのE♭(イーフラット)という調性ですね。

非常に高いのです。最初Cのキーでやってみて、なんか違うナと思い

あらためてオリジナルを聴き直したらE♭でした(高っ)。最高音もE♭なので

音域が広く、それを9年前の私は難しいと感じたのでしょう。

 

これは意図的にそうなっていて、このキーだからこそ地声と裏声を

自在に行ったり来たり出来るのですね。その声の切り替えの面白さ、ユニークさが

まずひとつ。。。

 

そして

♪色あせた桜ただひとつ♪

の色あせ

『た』

の音はB♮(ビーナチュラル)です。

これが私的にはこの曲の最重要ポイント!!

普通に考えたら

色あせ

『た』

の音はB♭(ビーフラット)になるのですが、それをあえて半音上げることで

桜の花びらの散るような儚さ、を醸し出すとともに、

ちょっとジャジーで、オフビートな「外し」の感覚が込められています。

 

私にはそのようにしか聴こえないのですが、いろいろなカバー・バージョンを聴いても

ここは半音上げずに普通に歌われている場合が多い。。。

いやここはBのナチュラルでなきゃ許せません~!(←私見ですが。。。)

 

そしてジャジー、という言葉が出たように、

この曲は4ビートのリズムをもっています。

バラードでは無いのですね。これも普通に考えたら

「バラード然」!としたドラマチックな解釈をしてしまいがちですが、

4ビートのリズムはドラマチックというよりはリズミック、

モダンな軽さと、躍動感を含んでいます。

Kikuchiakiko1

平野愛子の歌唱は同じ昭和22年に発売された名曲『星の流れに』の

菊池章子を思わせるところがあり、

直接的にか間接的にか、アメリカのジャズ・シンガーの影響を受けていると思います。

ちょっと蓮っ葉で艶っぽい、清純、純情というのとは違う感覚、

それがなんとも格好良いのですね。いや、格好良いといっては

語弊があります。だってこの2曲のテーマには「戦争」というものが

抗いがたい影を落としている。

 

「流行歌」が時代とともにある以上、戦後わずか2年で歌われた歌だということの意味を考えずにはいられないのです。

バラードでもなく演歌でももちろん無い、日本風であって和風では無い、歌謡曲から逸脱したジャズのフィーリング。。。

矛盾しています。

そこに留意しないと作曲家の意図からズレていってしまう、

非常に微妙な難しさをもった曲であり(正直、誰がどうカバーしても難しいでしょう。歌っておいて

ムセキニンなのですが。。。)

同時に作詞・作曲の東辰三先生の、非凡な洋楽的なセンス、を感じるところでもあるのです。

 

非凡な、洋楽的なセンス。その言葉から浮かんでくるのは。。。

大瀧さんの音楽!ですね。

だからこの曲を愛し、『日本ポップス伝』やインタビューで何度も紹介されたのだと思います。

こんな勝手な解釈をして怒られるんじゃないか。。。と思いながらも、

これからもどんどん勝手に解釈してゆく。。。(笑)でしょう。

『日本ポップス伝』は何よりも音楽を「考える」ことを教えてくれました。

Img_3680

昭和22年、まだ生まれていません。

戦後ちょうど20年経って生まれたバブル世代&均等法世代&新人類ですが、

昭和生まれ、もいよいよ(昭和当時の)明治生まれと同じポジションに。。。

しかし私はもう元号は使わないつもりです~。

 

 

 

 

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