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2016年10月13日 (木)

しょうこのリスニング・ダイアリー。

Bill Evans『 Live at The Top Of The Gate』

Yjimage
ビル・エヴァンスのピアノは美しい。ほんの2-3小節聴いただけで、この人が熟練したクラシックのピアニストでもあることがわかる。白人である彼が、その無駄のない美しいタッチでジャズを弾くってこと自体、矛盾を孕んでいる。


彼のピアノが一見お洒落、とかハイブラウに聴こえるとしたらこのタッチの美しさのせいだと思うけれど、あまりに鋭い音の切っ先がこちらを目指して休みなく飛んでくるので、とてもお洒落だなんて呼ぶ気にはならない。



美しいことと人を落ち着かせたり心を和ませたりすることは必ずしも同義じゃない。この人の演奏は根底に矛盾を抱え込んでいるために、聴くものを落ち着かせないし間違っても和ませたりしない。


ただ、言葉をうしなうほどに美しい。不吉なほどに、という言い方をしてもいいと思う。矛盾とは美しいものなのだ、危うく壊れそうなのにたしかで靭いのだ。


好きかと言われたら考え込んでしまう。ビル・エヴァンスのピアノは好きとか嫌いとか言えるようなものなのか。好き、嫌いと言えるのは相手に何らかの弱さや欠点を見出すからだ。そこに共感すれば好きになり、反発すれば嫌いになる。



共感や反発なんて言葉の最も遠くにあるもの、それがビル・エヴァンスのピアノだから、何度繰り返して聴いても私はその演奏が好きなのかどうかわからない。ただ、美しさに言葉を失ってしまう。考えずにはいられなくなる。自分はこの演奏が好きなのか、そうじゃないのか。好きとは、美しいとは一体どんなことなのか、と。

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