« アマデさんの手紙を読んで。 | トップページ | スコアを読む=心を読む。 »

2015年10月28日 (水)

トリステッセ・アランテ。

「ーー何故、死は最上の友なのか。死が一切の終わりである生を抜け出て、彼は、死が生を照らし出すもう一つの世界からものを言う。ここで語っているのは、もはやモオツァルトという人間ではなく、寧ろ音楽という霊ではあるまいか。

Mozartbook





自然とは何者か。何者かという様なものではない。友は、ただ在るがままに在るだけではないのか。彼の音楽は、その驚くほど直かな証明である。それは、罪業の思想に浸されぬ一種の輪廻を告げている様に見える。僕等の人生は過ぎて行く。だが、何に対して過ぎて行くと言うのか。過ぎて行く者に、過ぎて行く物が見えようか。生は、果たして生を知るであろうか。恐らくモオツァルトは正しい。彼の言う方が正しい。併し、彼が神である理由が何処にあろう。やがて、音楽の霊は、彼を食い殺すであろう。明らかな事である。」


(小林秀雄『モオツァルト』より。)

« アマデさんの手紙を読んで。 | トップページ | スコアを読む=心を読む。 »

音楽」カテゴリの記事

最近のトラックバック

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ